Nasic Release ナジックリリース | 教育界における注目テーマごとに、各界の有識者の方々のご意見・ご提言を掲載した提言誌

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ナジックリリース第25号<BR>(2014年9月1日発行)

特集:「キャンパス進化論」

 

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「スマートで強靭なグローバル一橋」で世界ONLY ONEを目指す (一橋大学 学長 山内 進)

学長 山内 進
Susumu Yamauchi

一橋大学は2015年度までの中期目標を設けた。
そこでは「新しい社会科学の探求と創造、全学共通教育と専門教育の有機的連関および他大学との連携、構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人の育成、国内・国際社会への知的・実践的貢献」が掲げられている。

これらの目標を具体的にどう実現していくのか。
その取り組みについて山内進学長にお話を伺った。


 

プラン135はグローバル時代に向けたグランドデザイン

――学長に就任されて、一橋大学プラン135を発表されました。「アジアNO.1、世界ONLY ONE」を実現していくためにどういったお考えをお持ちですか。

山内学長(以下、敬称略)一橋大学は2010年、創立135周年を迎えました。記念すべき年に学長に就任したわけですが、私がまず示したいのは、大学改革のグランドデザインです。その基本計画を「プラン135」と名づけました。

任期4年の間に目指したいのは「スマートで強靭なグローバル一橋」で、これをぜひ実現していきたいと考えています。

スマートとは「賢明で洗練された」という意味を込めていますが、一橋大学においては文化的洗練さ、すなわち世界レベルの教育と研究を求めていかねばなりません。大学間の競争の時代では、他大学との差別化を図る質の高い国際性に富んだ文化的洗練さを持つ必要があります。

本学は教育の目標として「構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人の育成」を掲げていますが、そのためにも高いレベルで社会科学の専門知識が必要です。

また、グローバル化が急速に進展する時代では、社会科学の知見だけではなく、思想、文化や芸術に造詣を持ち、異文化に対応できる心と語学力が必要です。

一橋大学のスタイルを一言で表すならば「リベラリズム」です。高度な学生の自主性と自己責任に裏付けられたリアルな自由主義ともいえるでしょう。

一橋は東大や京大とは違う、経済的自由主義を伝統としてきたからこそ、創立以来135年間、国家に頼らず民間の力で切り拓いていくという気概を持った市民的でビジネスに強い、国際社会で活躍する数多くの人材を輩出してきたのです。

私がスマートに加えて強靭なグローバル一橋と宣言した理由は、この一橋大学の独自のスタイル「知的強靭さ」が、今まさに社会から求められているからなのです。

世界で生起するあらゆる事態に的確に対処できる強さと粘りを持たねばなりません。強い一橋の下で、強靭なグローバルリーダーが育ちます。

一橋のスタイルは弱肉強食ではない社会性を持った自由主義

――グローバル人材の養成という観点で、一橋大学の特色をお聞かせください。

山内 我々の掲げる自由主義は、ある種の社会性を持った自由主義なのです。社会のために役立つ、多くの人が幸せになるために活動するといった意識を大事にしています。弱肉強食の自由主義ではありません。

一橋大学が育てようとする人材は、社会科学の理知を持つだけではなく、思想、文化、芸術にも造詣が深く、問題を感知・発見し、それを解決する能力と強靭さを持ち、そして異文化に対応できる心と語学力を備えていることが必要となります。

一橋大学は、その長期戦略「21世紀の経済、社会への挑戦―世界水準の社会科学の創造と統合をめざして―」を掲げています。重要なことは「世界水準」に照準を合わせている点です。

研究の世界水準化と共に教育レベルでは、世界に伍して活躍できる人材の養成であり、そして世界中から研究者や学生を吸引する大学そのもののグローバル化が必要となってきます。

――過去、多才なグローバル人材を数多く輩出してこられましたが、成果や今後の方針についてお聞かせください。

山内 キャリア支援は現状、うまく機能していると評価しています。その理由は同窓会「如水会」やOB・OGの協力があり、多くの企業にインターンを受けていただいているからです。

「社会性を身に付ける」ことをキャリア支援の目的の一つとして重要視しています。一流企業で活躍しているOB・OGの皆さんに講師として登壇いただく「キャリアゼミ」の開催により、その目的は達成できているのではないかと考えています。

少数精鋭教育と如水会との連携で一橋の特長を最大限に生かす

――キャリアゼミでは、実社会で活躍する先輩方から大変有意義な講義を受講できるそうですね。

山内 学生たちは社会に出て働き出せば、めったに会えない企業のトップや様々な分野の第一線で活躍する人物から直に話を聞き、討論することができます。有益でかつ社会の実際を学ぶ良い機会になっていると思います。

また講師の皆さんは若い人に自身の経験を伝えたいという気持ちが強く「教えがいがある」との声もいただいています。

一橋大学の特長は、少人数教育にあります。創立から135年で卒業生は八万人と少ないながら、企業に占める社長や役員の確率は高い。ですから社会に影響を与えるインパクトは強く、それだけに如水会の結束は堅く、親密です。

しかも如水会には、大学を支援したいという思いを強く持っていただいております。「社会の動向を考えれば、学生は早いうちにキャリアを考えたほうがいい」とのご意見が如水会からなされ、大学との協議のうえ、キャリアゼミがスタートしました。

こうした取り組みが2007年度、文部科学省の現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)に「同窓会と連携する先駆的キャリア教育モデル―寄附講義によるコア・プログラム構築とキャリア形成支援活動との有機的連携―」として採択されました。

大学と如水会との継続的な連携と協力関係を軸に、従来は困難であった新たなキャリア教育を展開できたと考えています。なお「現代GP」は昨年度で終了しましたが、キャリアゼミは継続しています。

グローバル化時代の牽引役となる人材を育成する

――文部科学省は中教審答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」に基づき、教育課程を通じた実践的な教育の展開を重点に置く方針のようです。今後のキャリア教育の重点化について、どのような考えをお持ちでしょうか。

山内 実務を尊ぶのは、一橋大学の伝統です。しかし、狭い意味でのプラクティカルな教育になってしまっては意味がありません。

本学の教育の目標として「構想力ある専門人、理性のある革新者、指導力ある政治経済人の育成」を挙げています。広い意味で社会の諸問題を解決できる問題解決志向の人材を育てることが本学のキャリア教育の本質だと認識しています。

大学は原理、理論を教育・研究する場であり、実務を志向しつつ理論を組み立てるという、二つの側面を忘れないでいたいと思います。

大学教育が魅力的なのは、体系的な知識を教授できるからです。学生はそれを身に付け、確かな知性を育んでいきます。

一方で、理論を観念的に理解しているだけでは不十分です。具体的な手立てが必要ですが、とりわけグローバルに活動するうえでは、英語をはじめとする語学力やMBAなどの実務上の能力を備えておかねばなりません。

我々が学生に身に付けさせたいと考えているのは、語学力と教養、そして具体的な問題解決能力です。そのためにはしっかりと頭を鍛えなくてはなりません。

鍛錬は理論の習得と議論によって行われますが、いずれにしても考え抜く力が必要です。そういう人が応用力を身に付けるのであり、世の中に出たとき人材として重宝されるのだと思います。

――一橋大学は就職難の時代にあって、高い内定率を誇ります。今後も質の高い就職を維持していくためには、どのような取り組みが必要だとお考えでしょうか。

山内 幸い学生が就職できないという状況ではありませんが、このような時代ですから、すべての学生がトップ企業に入社できるわけではありません。時代の変化を学生は感じていても、親が一流企業以外を許さない例も散見されます。

本学としては、著名な企業だけがすべてではなく、実力を持った企業が数多くあることを教えていきたい。それに、現在はグローバルに活躍している企業も、かつては全く名前が知られていなかった事例も多々あります。

「せっかく一橋大学に来たから銀行や保険業界に進みたい」というのは、一つの生き方ではありますが、皆が同じ選択をする必要はありません。学生が興味を抱いた分野で活躍してほしい。そういったメッセージを発信していきたいと思います。

山内進(やまうち すすむ)

1949年北海道生まれ。72年、一橋大学法学部卒業。77年、一橋大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。90年より一橋大学法学部・大学院法学研究科教授を務める。2004年、21世紀COEプログラム「ヨーロッパの革新的研究拠点」拠点リーダー就任。2010年12月より現職。専門は法制史。

大学改革提言誌「Nasic Release」第22号
記事の内容は第22号(2011年5月1日発行)を抜粋したものです。

 

ナジックリリース第22号・記事一覧

未来を見据え希望を持って人生を歩んでいくための力を育む (文部科学省 高等教育局 局長 磯田文雄)


日本経済の持続的発展には若年層の活力が不可欠 (経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室長 高橋直人)


「スマートで強靭なグローバル一橋」で世界ONLY ONEを目指す (一橋大学 学長 山内 進)


豊かな社会の実現を担う思いやりのある人材の養成を目指す (広島大学 学長 浅原利正)


全人教育を通じて複眼的視野を持った「世界市民」を養成する (関西学院大学 学長 井上琢智)


21世紀の日本の活路を拓く実践型イノベーション人材を育成する (芝浦工業大学 学長 柘植綾夫)


社会のために役立つ人材を建学の理念で養成する (明治学院大学 学長 大西晴樹)


地の利を最大限に活用し世界を舞台に活躍する人材を輩出する (学校法人青山学院 理事長 半田正夫)


新名古屋キャンパスは「第二の創学・建学」の第一歩 (愛知大学 学長・理事長 佐藤元彦)


レポート ナジックのロゴが京都・都大路を駆け抜けた 全国高等学校駅伝競走大会