Nasic Release ナジックリリース | 教育界における注目テーマごとに、各界の有識者の方々のご意見・ご提言を掲載した提言誌

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ナジックリリース第25号<BR>(2014年9月1日発行)

特集:「キャンパス進化論」

 

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国際化・グローバル戦略

明治ならではの国際化戦略で21世紀を生き抜く強い明治に変革する (明治大学 学長 納谷廣美)


明治大学学長 納谷廣美

2004年に就任した納谷学長は21世紀に対応した新しい大学づくりのための意識改革や大学改革に意欲的に取り組んできた。その一環として推進しているのが大学の国際化だ。
学内のコンセンサスを深めながら、明治らしい国際化を図っていくことが、そのポイントになっている。

そこで、大学改革における国際化がどのような経緯で開始されたのかを含めて、「グローバル30」の取り組みについてお伺いした。


 

多くの大学が取り組める国際化のモデルをつくりたい

――このたび明治大学が文部科学省の「グローバル30」の国際化拠点大学に選ばれたことについて、学長としてどのように受け止めておられますか。

納谷学長(以下、敬称略) 私学や中小規模の国公立大学のモデルとなれるような国際化をめざしたいと考え、そのためのアイデアを盛り込んだプランを作成しました。今回、「グローバル30」で国際化拠点大学の一つに選ばれたのは、そうした点が評価されたからだと考えております。

学内の教育・研究の質を変えていくには、国際化の視点から大学そのものを抜本的に見直すことが必要であり、そのためには「グローバル30」に選定されることが最大のチャンスだと考え2004年に学長に就任して以来行ってきた一連の大学改革の総決算とも覚悟して臨んだわけです。

即ち、真の目的は、留学生の受け入れ数を増やすことだけではなく21世紀の環境に適応した大学のあるべき姿を実現することにあるのです。

国際化の取り組みを通じて21世紀の明治大学像を確立する

――「グローバル30」において明治大学はどのような目標を立てたのでしょうか。また、明治大学の国際化構想にはどのような特徴があるのでしょうか。

納谷 明治大学のグローバル30は「グローバルコモン・プログラム」構想として取り組むものですが2020年度までに学部を中心に4,000名の留学生を受け入れ1,500人の日本人学生を世界に送り出すという目標を明確に打ち出しました。

他の12大学とくに国立大学では従来の体制を活用した大学院研究科を中心とした留学生の受け入れ増を図っていくという、リスクも少なく実現の可能性も高いやり方が主流です。

しかし、明治大学の国際化の真のねらいは旧来の大学の体質を抜本的に変革しようとすることにあります。明治大学にとって、学部を中心とする国際化は避けて通ることができないのです。多くの私学は、学部の学生を中心に成り立っているわけで、学部に手をつけなければ大学の改革は実現しません。

グローバル30に先だって国際日本学部を新設したねらいも、まさにそこにあります。私たちは大学改革の一つのテーマとして、環境と国際化に対応した二十一世紀型の教養教育を掲げ、そのあり方を模索してきました。

その中で、従来の学部体制そのものに手をつけざるを得ないと考えました。国際日本学部新設は、その一つの回答でもあります。こうした変革を進める中で「グローバル30」が発表されたわけで、一連の大学改革の総仕上げにふさわしいと考えました。4,000名の留学生受け入れなどの目標を設定したことも、まさに同じ理由です。

明治百数十年の歴史の中で築いてきた、成熟した体制を変革していくことは様々な困難と共に大きなリスクもかかえています。しかし、急速に大学を取り巻く環境が変化し、かつ大学に求められる機能や役割も変わっていく中で、変革をやり遂げないと二十一世紀に向けての明治大学のあるべき姿が明らかにならないわけです。

「グローバル30」の学長ヒアリングの際、私は「リスクのある取り組みであることは十分承知している。しかしこの挑戦に逡巡したら二十一世紀の明治大学はない。明治大学はすでにルビコン川を渡った」と学長としての決意を表明しました。
この「グローバル30」に採択されることを願いつつ、国際化推進のために学長のもとに全学的組織として「国際連携機構」を創設しています。

学内の意識改革が学長就任後の最初の課題に

――学部を中心にした一連の改革・国際化を進めていくために、どのように問題意識や意思の統一・共有を図っていかれたのでしょうか。

納谷 私は2004年4月に総長兼学長に就任しました(制度改革にともない総長制度は2004年度限りで廃止されました)。その当時、本学では、インフラも教職員の意識の面でも、十分な段階にはありませんでした。変わることへの不安や現状維持を求める人たちが圧倒的に多かったのです。

私は機会あるごとに「教職員にとって居心地のよい大学が、学生や社会が望む大学か。誰のための大学かということを考えてもらいたい」と何度も呼びかけてきました。学費を主要な財源としている私学は、学部に優秀な学生が集まり、学生が大学を巣立って社会の一線で活躍するという循環を維持・発展させていかない限り存続できません。私の訴えを通じて、そうした問題意識が徐々に深まっていきました。

学長一期目で「社会との連携」をテーマに、いろいろな新しい取り組みを展開しました。その中で、文部科学省の「大学教育改革支援プログラム」(GP)、「グローバルCOEプログラム」なども活用しました。

後者の先駆的な国策事業「21世紀COEプログラム」(2002年度開始)のときは、本当に残念なことでしたが、本学が申請した同プログラムはすべて不採択でした。

そこで「採択されるためには何を変えるべきなのか」を徹底して議論し、大学としては評価の高い教育研究に対し予算や人材面で支援するという姿勢を明確に打ち出しました。その変化はまず教育面に現れ、それが研究の分野にも波及していきました。

まさに「教育が動くと研究が動いた」のです。即ち個々の教員レベルではなく大学として推進する体制に転換しました。「研究知財戦略機構」という研究組織を新設し、変革に対する学長の本気を示したのです。

そうした中で取り組んだ大型研究が2008年度「グローバルCOEプログラム」に採択されたことは、教員の意識を変えるという面でも大きな追い風となりました。

ボトムアップの体制づくりで国際化の取り組みが急加速

――先ほど、大学改革の総仕上げとして位置づけているとおっしゃいましたが、学内の意識変化を含めた下地づくりを進めてきた後に「グローバル30」があるわけですね。

納谷 私が学長に就任した当初から「国際化」は避けて通れない重要な課題だと認識していました。戦前の明治はある意味で「世界に開かれた大学」でしたが、戦後、特に学園紛争の影響もあり国際化に立ち遅れてしまいました。大学改革に対する学内のコンセンサスを深め、意識を高めてもらうことを優先的に取り組んできたことで2004年当時の留学生数約400人が2009年前半には900人弱と倍増しています。

海外協定校も30大学程度でしたが、同様に100大学を超える数に急増しました。これは各学部や研究科の意識が変わり、何もしなければ他の学部に置いていかれるという危機感が意欲に変わったことで、こうした成果が出てきたのです。

「急がば回れ」ではありませんが、学内の基本的な仕組みの整備と意識改革を先行させたことは誤りではなかったと確信しています。今後は「グローバル30」に採択されたことで、教職員の自信と自覚が格段にあがり、明治大学の国際化がさらに加速されていくことは間違いありません。

明治らしい国際化明治らしい社会貢献をめざす

――明治らしい国際化を進める、明治らしさを海外に発信していくという面では、国際化の課題をどのようにとらえておらえるのでしょうか。

納谷 学長に就任して、さまざまな国を訪問しました。最近、まだ内戦の影響が残るボスニア・ヘルツェゴビナから、たっての要請があり訪問しました。戦後荒廃の中から復興して経済大国になった日本は彼らにとって大きな希望の星でもあり、関心の的でもあるわけです。世界には、機会があれば日本で学びたいと考えている若者がたくさんいます。

そうした若者を発掘し、留学のチャンスを提供しながら受け入れ増を図っていくというアプローチをするべきだと考えています。これが明治らしい国際化の方向の一つだと思っています。

もう一つの取り組みは、民間企業や他大学などと積極的に連携しながら効率的な国際化のソリューションモデルを確立することです。留学生の募集に当たっての連携、来日後の宿舎の手当てなどを含め、連携の輪を広げていこうとしています。

これらを通じて得たノウハウを積極的に公開していきたいと考えています。冒頭に「私学や中小規模の国公立大学のモデルとなる国際化をめざしたい」と申し上げたのは、まさにそうした考え方からなのです。

納谷廣美 Hiromi Naya

1962年、明治大学法学部卒業。1966年、東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了後、司法修習生を経て1968年に弁護士(第一東京弁護士会)となる。同年、明治大学法学部専任助手着任し、講師、助教授を経て、1980年より教授。教務部長、法学部長等を経て、2004年に学長に就任。学外では、大学基準協会会長、日本私立大学連盟副会長なども兼任している。専門は民事訴訟法。

大学改革提言誌「Nasic Release」第20号
記事の内容は第20号(2010年2月1日発行)を抜粋したものです。

 

ナジックリリース第20号・記事一覧

対談 大学国際化の現状と展望 (財団法人日本総合研究所会長 多摩大学学長 学生情報センターグループ特別顧問 寺島実郎  文部科学省高等教育局長 徳永 保)


創設時から脈々と続く「門戸開放」の精神で「世界のリーディング・ユニバーシティ」の実現を目指す (東北大学 総長 井上明久)


世界各国の有能な人材が集うことが「世界を担う知の拠点」である東京大学の使命 (東京大学理事・副学長 田中明彦)


「人間教育」と「環境」を掲げ上智らしさで「世界に並び立つ大学」を目指す (上智大学 学長 石澤良昭)


明治ならではの国際化戦略で21世紀を生き抜く強い明治に変革する (明治大学 学長 納谷廣美)


長期的戦略とAPUで培った実績を基盤とした立命館ならではの国際化戦略を推進する (立命館大学 学長 川口清史)


鼎談  地域における留学生受け入れの課題〜大学間連携と地域社会を巻き込んでの「国際化」を考える〜 (龍谷大学副学長 西垣泰幸氏  同志社大学副学長 黒木保博氏  京都大学理事・副学長 西村周三氏)


国際交流のプロ人材組織として幅広いネットワークを駆使し留学生30万人計画のハブとなる (特定非営利活動法人 国際教育交流協議会(JAFSA)常務理事早稲田大学 留学センター 調査役 高橋史郎)


レポート nasicのロゴが都大路を駆け抜けた「全国高等学校駅伝競走大会」レポート