Nasic Release ナジックリリース | 教育界における注目テーマごとに、各界の有識者の方々のご意見・ご提言を掲載した提言誌

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ナジックリリース第25号<BR>(2014年9月1日発行)

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国際化・グローバル戦略

長期的戦略とAPUで培った実績を基盤とした立命館ならではの国際化戦略を推進する (立命館大学 学長 川口清史)


立命館大学学長 川口清史

立命館は1980年代から全学的なグローバル化を大学の長期戦略の中核に位置づけ、立命館アジア太平洋大学(APU)の創設など、日本の大学の先駆的な存在として国際化戦略を展開してきた。「グローバル30」を機に立命館大学は今後その先駆性をどう発展・強化しようとしているのか、同大学学長の川口氏に、国際化に関する考え方をお伺いした。

1980年代から学生の海外留学に取り組む

――立命館大学は我が国の大学の中でも早い段階から国際化を戦略の柱として位置づけ、取り組みを行ってこられました。その背景等についてお伺いします。

川口総長(以下、敬称略) 立命館大学は1980年代から国際化を重要課題として位置づけ、取り組みを開始しました。その最初となるのが国際関係学部の創設です。この取り組みを通じて、大学全体の国際化を推進するねらいがありました。国際関係学部を中心に日本人学生を海外に送り出す留学政策を進めたのです。

現在、毎年1,500人を超える学生を海外に送り出していますが、これは日本の大学の中ではトップの水準にあります。留学プログラムは共同学位プログラムや交換留学など様々で、早い段階から独自の留学プログラムを開拓し、定着させてきました。

たとえば、アメリカン大学とデュアル・ディグリー協定を締結し、それぞれの大学で2年間のコースを受講すれば両大学の学位を取得できるプログラムを1994年にスタートさせました。

また、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学とは、同大学のキャンパス内に現地の学生と共に生活できる学生寮を建設し、共に暮らし共に学ぶ一年間のプログラムを創設1991年から毎年100名の学生を送り出しています。このほかにも各学部が独自の留学プログラムを運営しています。
こうした取り組みが年間1,500人を超える海外留学実績につながっており2020年には2,400人を目標に、拡大していこうとしています。

グローバル30でAPUの成功をさらに充実させる

――国際化のもう一つの目標である留学生の受け入れはどのような目標でしょうか。

川口 優秀な外国人学生が留学先として日本を選択しないといわれてきましたが、これを打破するための立命館ならではの挑戦が英語基準での学生の入学を可能にした2000年の立命館アジア太平洋大学(APU)の創設です。

日本で唯一の国際大学として学生・教員の半数を外国人とすること、英語と日本語の二言語で授業を行うことなどを基本方針として2010年には満10年を迎えます。現在、97カ国・地域から集まった約2,800人の留学生が在籍していますが、その半数は卒業後、日本で就職し、各界で活躍するという実績をつくりあげてきました。一私学の取り組みとしては、かなりリスクの大きな冒険的なものでしたが、開学10年の実績を重ねて、APUは中国、韓国、タイ、ベトナムなどのアジア諸国を中心にたいへん高い評価を得るまでになりました。

APUの経験をもとに、次の国際化戦略として立命館大学の国際化、留学生の受け入れ拡大に取り組んできました。

そのような中で、「留学生30万人計画」のもと「グローバル30」が発表されたわけです。立命館大学としてはさらに国際化を充実させようとしたタイミングで行われるプログラムであり、推進のための起爆剤として活用しようと考えました。

APUとは別のアプローチが必要

――立命館にはAPUという成功モデルがあり、設立準備から10年以上積み上げてきたインフラもあります。今後の立命館大学の国際化は、どのようなものでしょうか。

川口 APUの資源を生かしながらも基本的にはAPUとは違った取り組みが必要だと考えています。国際大学としてゼロから立ち上げたAPUとは背景が異なるからです。立命館にはAPUの立ち上げや運営に関わった教職員が多数おりますので、その経験やネットワーク、ノウハウは他大学にはない貴重な財産です。

これらを最大限に駆使して立命館大学の歴史・伝統や地域での役割を踏まえた国際化を進めていきます。立命館大学の国際化が目標ラインに到達した段階では、APUとの連携で大きな相乗効果を発揮するでしょう。

多様なプログラムの開発で4,000人超の留学生受け入れを

――「グローバル30」では留学生受け入れの数値目標を求めていますが、立命館大学はどのような目標値を掲げたのでしょうか。

川口 「グローバル30」を含めた一連の国際化の取り組みを通じて2020年には4,000名超の外国人留学生受け入れを目指すという目標を設定しました。外国人留学生の在籍者数は2008年度で1119名でしたが、さらに約3,000名の外国人留学生を受け入れるということです。

他国の学生と交流することで学生はたくましくなります。目標が実現すれば10人に1人が留学生という環境になり、普段のキャンパスライフでの中で国際感覚を肌で身につけることが可能になるでしょう。現在外国人留学生の多くは、立命館の研究や教育面のプログラムを理解し自ら選択してくれています。

これまでの実績を基盤に、大学としてより能動的に、かつ積極的に優秀な外国人留学生の受け入れに努めていきます。また交換留学プログラムにおいても、送り出した学生数に応じて受け入れを拡大していかなければなりません。その意味でも、外国人留学生が学びやすい、生活しやすい環境づくりや教育の質の向上を、重要な課題として受け止めています。

これからの国際化の戦略的課題は自由に行き来できる留学環境の整備

――留学生の受け入れを拡大させていくことについて、各大学は様々な対策を検討していますが、その具体策として何が最も有効だと考えていますか。

川口 複合的に国際化を進めていくことが必要になりますが、とりわけ英語による授業、英語で学位が取得できる環境整備は重要なポイントだと思います。APUには毎年、多くの中国人留学生が入学してきますが、その大半は英語コースを選択します。立命館大学においても、英語で学位を取ることのできる教育環境の整備や充実は避けて通れない課題だと考えています。

しかし、「留学生30万人計画」により結果として多くの外国人留学生が日本で就職し、日本社会が受け入れていくならば、英語による授業のみでなく、生活の基盤となる日本語による授業をさらに充実させなければなりません。日本の国や社会が長期的に、外国人留学生受け入れをどのように位置づけていくか、産業界や地域社会も含めた全体的なコンセンサスを醸成する動きや、より国際競争力のある留学生支援を国が行うべきでしょう。

また我が国では、東アジア版のエラスムス計画を推進していこうという動きがあります。これは中国や韓国の大学と競いながら留学生を獲得していくのではなく、三カ国の大学が共同で若い人材の交流を推進していくというものです。私も大賛成で三国の大学間で共同の短期留学プログラムを多数設けて、学生が相互に交流する環境をつくり出すことが中国、韓国とのより友好的かつ戦略的な国際学術・教育交流に発展していくと確信します。

サマースクールなどの短期プログラムや、学位や単位の共通化を図って高頻度で留学を繰り返す体制をつくりあげるなど、多様な留学生プログラムが現在求められているのです。

多様な形態で世界各国・地域からの留学生を受け入れ、同時にさらに多くの日本人学生を海外へ送り出す。この動きを加速させ、これまでの先駆的な取り組みとわが国トップレベルの実績をもとに、立命館ならではの国際化を着実に展開していきます。

川口清史 Kiyofumi Kawaguchi

京都大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。1976年立命館大学産業社会学部助教授を経て、87年同学部教授。94年同大学政策科学部教授。2007年、同大学学長に就任。学校法人立命館の総長を兼任している。この間、99年の政策科学部開設に事務局長として参加したほか、教学部長、調査企画室長を歴任した。専門分野は経済学(経済・社会システム、経済事情及び政策学)。

大学改革提言誌「Nasic Release」第20号
記事の内容は第20号(2010年2月1日発行)を抜粋したものです。

 

ナジックリリース第20号・記事一覧

対談 大学国際化の現状と展望 (財団法人日本総合研究所会長 多摩大学学長 学生情報センターグループ特別顧問 寺島実郎  文部科学省高等教育局長 徳永 保)


創設時から脈々と続く「門戸開放」の精神で「世界のリーディング・ユニバーシティ」の実現を目指す (東北大学 総長 井上明久)


世界各国の有能な人材が集うことが「世界を担う知の拠点」である東京大学の使命 (東京大学理事・副学長 田中明彦)


「人間教育」と「環境」を掲げ上智らしさで「世界に並び立つ大学」を目指す (上智大学 学長 石澤良昭)


明治ならではの国際化戦略で21世紀を生き抜く強い明治に変革する (明治大学 学長 納谷廣美)


長期的戦略とAPUで培った実績を基盤とした立命館ならではの国際化戦略を推進する (立命館大学 学長 川口清史)


鼎談  地域における留学生受け入れの課題〜大学間連携と地域社会を巻き込んでの「国際化」を考える〜 (龍谷大学副学長 西垣泰幸氏  同志社大学副学長 黒木保博氏  京都大学理事・副学長 西村周三氏)


国際交流のプロ人材組織として幅広いネットワークを駆使し留学生30万人計画のハブとなる (特定非営利活動法人 国際教育交流協議会(JAFSA)常務理事早稲田大学 留学センター 調査役 高橋史郎)


レポート nasicのロゴが都大路を駆け抜けた「全国高等学校駅伝競走大会」レポート